やりたいことが、見つからない
「好きなことを仕事に」
「人生でやりたいことを見つけよう」
「あなたの情熱は何ですか」
そういう言葉を聞くたびに、
胸の真ん中が、ちょっと冷たくなる。
「私には、特に何もない」
それが本音で、それを言葉にできないまま、
何年も、ぼんやり生きてきてはいないでしょうか。
仕事はある。生活もできている。
でも、本当にやりたいことか、と問われると、答えに詰まる。
そして、夜になると、「自分の人生の主題」が
わからない感覚が、じわっと迫ってくる。
最初に、ひとつだけ伝えたいことがあります。
「やりたいことが見つかっている人」は、思っているより少ないです。
こういう夜に、思い出してほしい精霊がいます。
風の精霊ヴェント。「旅風の精」です。
ヴェントは自由で冒険好きな精霊。
一箇所にとどまることができない存在で、
目的地ではなく、道そのものを楽しむ力を持っています。
「外に出てみよう!」「世界はもっと広い」と、
閉じこもっている人の窓を開け放つ精霊です。
精霊タロットには「元素の季節」という独自の概念があります。
やりたいことが見つからないと感じている今のあなたは、
おそらく「風の春」の前夜——
まだ何の風が吹くか、自分でもわかっていない時期です。
ここで、無理に旗を立てようとすると、
他人の風で立てた旗になってしまう。
ヴェントが伝えるのは、こういうことです。
「旅は、目的地に着くためのものじゃない。
道の途中で出会う風が、あなたの方角を教えてくれる」
ヴェントの問いかけは、
心理学の研究ともきれいに重なります。
ある大規模調査では、「明確にやりたいことを持っている人」は、
社会全体で15%以下と報告されています。
つまり、やりたいことがない自分が普通で、
メディアやSNSが、ある特殊なケースを過剰に拡大しているだけ。
そしてもうひとつ。
心理学者キャロル・ドゥエックの研究では、
情熱は「見つけるもの」ではなく「育てるもの」だと
示されています。
つまり、
×「情熱を見つけてから始める」
○「とりあえず始めて、続ける中で情熱に育てる」
これに気づくと、「見つからないからスタートできない」という
無限ループから抜けられます。
やりたいこと探しに、迷子になっている人ほど、
「見つけてから始めなきゃ」と、固く信じている。
ここから、優しくない話を書きます。
具体的に、ひとつだけ提案させてください。
今週、「ちょっと気になる」レベルのことを、
ひとつだけ試してください。
情熱とか、人生のテーマとか、そんな大きな話じゃない。
「気になるカフェに行く」「気になる本を1冊買う」
「やってみたかった習い事を体験する」くらいのレベル。
その後、感覚を観察してください。
「もう一回やりたい」と思ったか。
それとも、もう十分だったか。
研究では、「もう一回やりたい」が3回続いたものが、
情熱の卵になっていく傾向が示されています。
それから、もうひとつ大事な視点を渡します。
「人生でやりたいこと」は、
仕事や情熱でなくてもいいんです。
心理学のWell-Being研究では、人生の意味は3つの源泉から作られるとされています。
ひとつ、仕事や活動の中での貢献感。
ふたつ、深い関係性(家族・友人・パートナー)。
みっつ、自己の成長と探求。
このうち、ひとつでも持っていれば、人生は十分に意味を持ちます。
全部に「やりたいこと」を見つける必要はない。
たとえば、仕事は淡々とこなしながら、
深い関係を大事にする人生。
仕事は普通だけど、自分の趣味の世界を持っている人生。
これらは、立派に「やりたいことのある人生」です。
今夜、自分にひとつだけ問うてください。
「私の人生の中で、ちょっとだけ充実感があった瞬間は、いつ、どこで?」
それは、仕事の達成かもしれない。
誰かと話した夜かもしれない。
ひとりで本を読んでいた休日かもしれない。
その小さな充実の手がかりに、もう少しだけ、栄養をあげる。
それが「やりたいこと」の、本当の入り口です。
急がなくていい。
最後に、ヴェントの言葉を借りて。
「風は一箇所にとどまらない。
今いる場所から一歩外に出てみて。
新しい景色が、新しいあなたを教えてくれる」
ヴェントの風は、
急いで答えを出そうとしない人にだけ、
ちゃんと方向を教えてくれる。
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